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あったかい家族のような人達に会いに。標高750m天空の古民家を訪ねる。

ライター:檜原村地域おこし協力隊 (土井智子)

檜原村の北秋川沿いを奥に奥に進んだ先にある藤倉地区。そこには標高750mの尾根に立つ天空の古民家がある。山岳モノレールで行く重要文化財・小林家住宅だ。4月にはツツジが辺り一面に咲き、夏は山々の緑が美しい。

その小林家住宅を令和2年より管理運営をしているのは、地元藤倉地区で山の保全や地域おこし活動をしている「藤倉大杉の会」。その会長が小泉民行さん、通称・民(たみ)さんだ。

民さんは藤倉に生まれ育ち、その土地やそこに住む人をよく知り、守り続けている人なのだ。すべてをまとめる大きな懐の持ち主で、みんなの頼れる存在。藤倉地区のことは民さんに聞けばわかると、私が一番頼っているかもしれない。

自分に厳しく他人に優しく

民さんはとにかくいつもシャキッとしていて若々しい。そして何より、心があったかい人なのだ。今回インタビューでその理由が分かった。

民さんは青年時代、地元を離れ自衛隊員として神奈川にいたという。自分を厳しく律するその生活は、今の民さんの基盤となっている。その後、家に戻らなければならなくなり、地元藤倉に戻ってきた。戻ってからは自動車教習所の教官として23年間務め、また檜原村シルバー人材センターの会長なども務めていた民さん。
今でも家では朝起きれば布団は綺麗に畳み、携帯電話は定位置に、日常で使うものはすべて決まった場所に整える。「何でもきちんと整理しておく習慣があるんだよ、びっくりするくらい全部場所が決まってるんだよ」と、45年連れ添う奥様が笑顔で話してくれた。

土井(以下、土)「民さんって、几帳面なんですね!」

民行さん(以下、民)「暗闇でもどこに何があるかわかるように、何かあった時、いつでもさっと動けるように、その習慣が染みついているんだな」

土「あぁ!そういうことなんですね!若い頃の自衛隊の習慣が、今も生活の基礎になっているんですね。」

民「そうだね。自分はその方が楽だからね。でも人には強要しない。やだよなぁ、ああしろこうしろって言われたら。」

ご自身のことは厳しく律しながら、でも周りには本当に優しい民さん。固執せず柔軟な考え方で肯定的にアドバイスをくれる。

土「民さんは教習所の教官だったから、人に教えたりするのが上手なんですね」

民「上手いかはわからないけどな。人は、叱られたりすると、萎縮して逆に何もできなくなるだろう。だから見守ってまずはやらせてみるんだよ。」

今回の取材も2つ返事で、いいよ、何書いてもいいんだよ、と言ってくれた。

本当にいつもとにかく優しく見守ってくれるのだ。
藤倉大杉の会はそんな民さん率いる、地元のあたたかいメンバーで運営している。

また来たいと言ってもらえる場所に

藤倉大杉の会が管理運営する、重要文化財の小林家住宅は檜原村に来た人は行くべきおすすめスポットだ。予約制の山岳モノレールに乗って山を登る。その先には、どこか懐かしくなる昔ながらの日本の風景が広がる。
取材当日は、いつも安全にモノレールを運行してくれる大久保さんと、小林家住宅をテンポ良く楽しく案内してくれるかよ子さんが迎えてくれた。お2人も地元で生まれ育った人で、村の昔の暮らしぶりや地元の地理についても教えてくれる。だからいつも、ついつい時間を忘れて長居してしまう。

土「かよ子さん、大久保さん、小林家住宅でお客様を案内してみて、どうですか?」

大久保さん(以下、大)「口下手だからなかなか上手くできないから、他のメンバーのガイドを見ていつも勉強してるんだよ。メモしたりして(笑)お客さんが楽しめたのかどうかなぁって思ってる」

かよこさん(以下、か)「案内したお客さんから、『楽しかったよ』『また来るからね』と帰りがけに言われると嬉しいよね!」

大「楽しんでもらえてよかったなぁってほっとする」

か「また来てもらえるように頑張らなきゃって励みになるよね」

ここに来ると、まるで田舎の親戚の家や、遠く離れて暮らす家族のように、居心地が良くて、時間を忘れ、東京であることなんてすっかり忘れてしまう。あぁ、今日もすっかり長居してしまった(笑)

重要文化財小林家住宅 公式HP
https://kobayashike.tokyo/

 

ライター:檜原村地域おこし協力隊・土井智子 2019年に千葉より檜原村に夫婦で移住し、地域おこし協力隊として村内で活動している。 自然豊かな檜原村で古民家暮らしを満喫し、日々の暮らしを発信中。 https://www.instagram.com/tocoxxhinohara/

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