• Top
  • コラム
  • 村の素材を活かす先駆者。檜原村のルバーブ畑を訪ねる。

村の素材を活かす先駆者。檜原村のルバーブ畑を訪ねる。

ライター:檜原村地域おこし協力隊 (土井智子)

6月~7月中旬まで限定で、檜原村のお土産品として店頭に並ぶものがある。それはルバーブという彩の綺麗な野菜の茎を使った、甘酸っぱく爽やかなジャム。

獣害がない農作物を村で作ろうと、ルバーブを自ら植え、収穫し、その綺麗な赤い部分だけを使い、余計なものを一切加えず手作りし販売している「ひなたぼっこ」の鈴木留次郎さん。通称、留(とめ)さん。

留さんと言えばじゃがいも、江戸東京野菜、メープルシロップ、山野草・・などなど、とにかく檜原村の様々なものに精通している人で、農業の6次産業化の先駆者なのだ。

村の大自然の中で宝探しを楽しむ

留さんは鈴木家の10代目で、檜原生まれ檜原育ちの生粋の檜原人。かつては副村長をつとめていて、村のことは何でも知っている方なのだ。現在は檜原のじゃがいも栽培組合の会長、また農産物加工販売の「ひなたぼっこ」、そして江戸東京野菜の生産者として、幅広く活動している。

留さん(以下、留)「今日は天気が良いから、畑にいるよ。」

梅雨時期は天気が読めないので、晴れた日の農家はとにかく畑仕事で一日中忙しいのだ。その日は収穫前の畑の草むしり、新じゃがの収穫、そしてルバーブの収穫。これはなかなかハード。

土井(以下、土)「邪魔にならないように、草むしりながらお話し聞かせてください!」

留「人手が多いと助かるよぉ。」

留さんは私の急な訪問もいつも快く引き受けてくれる。

その日は自宅近くの斜面につくられた畑で、じゃがいもを収穫していた。鍬で土を掘り起こす姿はとても75歳になる人の動きとは思えないほど、若々しい。それもそのはず、昔から山歩きが趣味だという留さん。最近は自宅近くや河原など身近なところを散策し、季節ごとの山野草をカメラに収めているという。

留「村の山や河原にはな、自然のお宝がいっぱいあるんだよ。」

土「おぉ、お宝探しですね!楽しそう!」

留「それを見つけてどうやって使うか、考えるのが楽しいんだよ。」

若者が暮らせる村づくり

留さんは、ルバーブジャムの他にもナツハゼという和製ブルーベリーのような貴重な種のジャムを作ってる。また檜原のイタヤカエデから採れた樹液でメープルシロップも作っている。どれも季節限定で、生産量が多くないのため、売り切れ御免の人気商品となっている。そんな「ひなたぼっこ」の商品に込める留さんの思いを聞いた。

留「昔からテーマがあってな。それは『若者が暮らせる村づくり』なんだよ。若い人達がどこにも行かなくても、村で食べていける仕事があるというのが一番だからな。」

土「たしかに、最近は畑もやりながら暮らしたいという若い世代も増えていますからね。」

留「若い人達が畑や村の自然素材を使って製品にして、そして販売して収入を得る、そこまでを自分達でやっていくことが大事なんだよ。」

土「そのモデルになるように、留さんがお手本を示しているんですね。」

留さんは昔も今も変わらず、大きな視点から村の存続や発展を考えている人なのだ。

そしてそれを後進に語り継ぎ、自ら率先して実践していく姿に、村内外にもファンが多い。

今年も季節ごとに、檜原村の店頭に留さんの心をこめた製品が並ぶ。もし出会えたら、ラッキー!その時は迷わず手に取っていただきたい。

 

ライター:檜原村地域おこし協力隊・土井智子 2019年に千葉より檜原村に夫婦で移住し、地域おこし協力隊として村内で活動している。 自然豊かな檜原村で古民家暮らしを満喫し、日々の暮らしを発信中。 https://www.instagram.com/tocoxxhinohara/

他のコラムはこちら

人気記事 TOP3

最新記事 TOP5